40年以上しらす加工機器メーカーとして技術を磨いてきたカワクボFACTORY株式会社の歴史を紹介。

カワクボHISTORY

どろめの町・赤岡で鉄工所を創業

カワクボFACTORYの前身は、漁船や漁船で使用する漁業用機械の製造を行う鉄工所です。
「どろめのまち」として有名な香南市赤岡町で、地域の漁業を長年支え続けておりました。
第二次世界大戦で負った傷が癒え始めた1950年(昭和25年)の創業です。
小さな漁師町の鉄工所ですので、地域の漁師さんたちとは、よく仕事の話をしたり、仕事の様子を見るなどして漁がはかどるための工夫をする日々を送っていました。

自走式地引網巻取機の開発

しらす漁はさまざまな手法があります。船を沖に出して網を放ち、海岸で網を引っ張る「地引網漁」、二隻の船で網を引っ張る「船曳(ばっち)網漁業」などです。
どちらにしても、この網を「巻き取る」作業は大変な労力がかかります。そこで、1956年に「自走式地引網巻き取り機」を開発、1966年には「シラスバッチ網船上巻き取り機」を開発しました。
この巻き取り機で漁師さんの作業効率が格段にアップし、大変喜ばれました。

一歩一歩改善を進めていきました

漁師さんの仕事に深く関われば関わるほど、「こうしてあげたい」という思いが強くなります。当の漁師さんたちは、代々仕事を受け継いでいるため、「漁の仕事はこれが当たり前」と思っていることでも、鉄工所の目線で考えると改善できる仕事はたくさんありました。
「当たり前」を変えていくことは、とてもハードルの高いことです。「仕事が楽になるから」では済まされないところがあります。長年続けてきた漁師さんたちの仕事の流儀に水を差すように思われたこともありました。また、新たな設備を投入するためには予算も必要です。
山あり谷ありありましたが、後押ししてくださる漁師さんも居り、少しずつ理解を得ることができました。

しらす加工機械の開発をスタート

しらすは漁を行った後に加工をする必要があります。高温の釜でゆで上げ、ほど良く乾燥をさせる作業です。
加工作業はしらすの出来栄えの良し悪しに大きく影響をするのですが、作業工程のほとんどが、手作業であり、作業者の経験値(カンと呼ばれるもの)に頼っているため、仕上がりにムラがありました。加工できる量にも限界があります。
昔はそれでも話が通っていました。しかし日本は経済発展の真っただ中で、何においても「大量生産」がもてはやされる時代になっていました。「昔からこうだったから」が通用しなくなっていることを私たちは肌で感じていました。
そこで、1967年、加工機械の開発をスタートさせました。

1988年、「有限会社カワクボ製作所」に

炊き上げ用の釜の製造から手掛け、およそ20年の間にしらす加工の全工程の機械を開発しました。毎日が挑戦の日々です。機械が完成し納品しても、常に「もっとこうすれば」という思いが強く、「終わり」を感じることができません。これは今も変わりありません。俗に言う「クラフトマンシップ」なのでしょう。
この積み重ねが少しずつ評判を呼び、日本全国から受注をいただくほどになり、1988年に有限会社カワクボ製作所として法人化を行いました。

美味しいしらすを求めて

原料になる生しらすは太平洋沿岸や東シナ海、瀬戸内海、大阪湾、伊勢湾など多くの地域でで水揚げされています。
しかし、昔に比べ全国の河川や漁場の海は汚れているように感じます。それにより水揚げされる生しらすの魚体に付着しているヌメリも多くなっているのではないかと思います。
しらすの魚体に付着しているヌメリは魚独特の臭いの元となり腐食の原因ともなります。

私どもカワクボFACTORYはこの臭いの元となっているヌメリを何とか除去できないかとの思いから、機械製造部が生しらすのヌメリを除去する洗浄試験を繰り返し行い、今までの簡易的な洗浄よりはるかにヌメリを除去できる洗浄方法を開発し、生シラスのヌメリを除去できる洗浄システムを開発に成功しました。

当社独自の煮沸装置の開発

蒸気を熱源とするしらすの煮沸装置は加熱用の熱交換器(パイプ)に穴をあけ、その穴から直接煮汁に170℃近い蒸気を吹き込みお湯を沸かす直噴方式が主流でした。
しかし、当社は煮汁に直接蒸気を吹き込む煮沸方法では熱源のボイラ内部の鉄分や、蒸気をボイラから煮沸装置まで送る蒸気配管内部の鉄さびが蒸気と共に煮汁に混入してしまい、良くないのではと考えました。
そこで、弊社の煮沸装置はお湯を沸かす構造として加熱用のパイプに170℃近い蒸気を流入させ、パイプ表面からの放射熱でお湯を沸かす間熱方式を採用しています。
それにより、ボイラや蒸気配管の鉄さびが煮汁に混入することは一切ありません。

飲める煮汁でしらすを炊きたい

昔、しらすの煮沸加工で煮汁に過酸化水素を投入し、しらすを殺菌煮沸する方法が全国で行われていた時代がありました。また最近、国が5ppmを上限に過酸化水素の使用を認める食品衛生法が改定され実質過酸化水素の使用が許可されました。
しかし、従来の煮汁に過酸化水素を添加する方法ではどうしても煮汁に過酸化水素が残留するので煮汁を飲んだり商品化すことは不可能でした。
飲める煮汁でしらすを炊く、その夢に向かって機械製造部の研究開発が始まりました。

究極の煮汁を求めて

当社独自の煮沸方法の間熱煮沸はご家庭でお鍋を沸かすのと同じで、熱交換器のパイプ表面から気泡がでて沸騰します。
しかし、直噴煮沸はパイプの穴から勢いよく蒸気が噴射されるため炊きすぎるとシラスが蒸気の勢いで折れてしまいます。
そこで、当社はしらすが折れない間熱煮沸の特性を生かして、必要以上とも思われる煮沸【炊き】を研究しました。
その結果、しらす【魚】の持つアクを出し切る沸騰煮沸に成功し、短時間で一気に煮沸をするためしらすが完全に煮えるので、煮汁には味付けの塩しか入れる必要がなく、飲める煮汁ができたのです。

美味しい煮汁の誕生

高知県工業技術センター・食品開発課との共同研究でとにかく煮汁を沸かす、そのことにより煮汁に染み出したしらすの脂質やたんぱく質が結晶化し大量のアクとなり、しらすの苦みや生臭さを無くしてくれる、と同時に煮汁の味もよくしてくれるのだとわかりました。 結晶化したアクは煮沸装置外部に排出されるのでよりいっそう煮汁が美味しくなります。
美味しい煮汁は「透き通った色」をしておりました。

自らの手で究極のしらすを!

10年以上苦労を重ねてきた間に、1つの思いが芽生えてきました。多くの方々の協力で生まれた技術の結晶を、自分たちの手で活用したい…しらす加工を新事業として開始することです。
新事業展開に向けての社内体制はそれほど難しいものではありませんでした。技術開発と厚生労働省への審議依頼・実験データ提出などを繰り返す日々の中で、しらす加工のノウハウは身についていました。
大変だったのは加工場の準備です。理想はしらす漁の水揚げが多い市場付近ですが、本社の近くは条件的に難しく、少し距離はありましたが安芸市西浜地区に好条件の土地があり、そちらで話を進めることにしました。

国道55線沿いの利便性が高い海岸沿いであり、なにより安芸漁港から550mという、まさに「目と鼻の先」の距離です。

2017年(平成29年)しらす加工事業は「食品加工部」として発足し、社名も「カワクボFACTORY株式会社」に改名し、翌年に工場を設立するに至りました。

究極の「モデルルーム」

究極に美味しい、安心・安全なしらすをお客さまにお届けするために、欠かせないことは衛生管理です。
しらすは個体が小さいため、油断すると加工機械や工場の床などに残り、腐敗します。そのため、工場の稼働を終えた午後に3時間ほどかけてしっかりと掃除・洗浄を行います。
もちろん、工場は高知県版HACCP第2ステージ取得済。「いつ・誰が見学に来てもご案内できる工場」をモットーにしています。

天使の宝石…お子さまにも安心なしらす

カワクボFACTORYでは鮮度・安全性・食感・香り・味わいなど、厳しい品質基準を定めています。そのため、おのずと生産量が限られてきますが、「極上のしらす」をお届けしたいという初心を貫徹するために、己に厳しくありたいと考えました。
商品に対する思いが固まったところで「商品名をどうするか?」の話になりました。思い入れがたくさんありすぎて短くまとめることができるかどうか心配でした。味を表現できても思いが表現しきれてなかったり、またその逆の候補もありました。スタッフ全員が我が子の名前を決めるより難しいことだと感じていました。

しかし、ある日ふっと「天使の宝石」という名前が「空から降ってきた」ような感覚で社長の奥さんの頭に浮かんだのです。ふわふわ・しっとりの食感はまるで天使の羽のよう、安心・安全、うす塩だから小さなお子さま(=かわいい天使)に自信を持っておすすめできる。生産量が限られている貴重なしらすは当社の加工技術の結晶(=宝石)…という意味合いにピッタリで、なおかつ「天使」と「宝石」の言葉の組み合わせに夢を感じ、満場一致で決定しました。

「天使の羽を思わせるふわふわしたしらす」は、当社の加工技術の結晶でできた宝石である「天使の宝石」の誕生です!

カワクボのちりめん

「天使の宝石」は極上のしらすとしておかげさまで売り上げは好調です。都心や京阪神の有名百貨店や量販店などにも並べていただけるようになりました。しかし、「究極」を目指しているため、生産量がどうしても限られてしまうのが難点です。
お取引をいただいている各所から、「カワクボFACTORYさんの思いは充分伝わりますが、もう少し手軽にたくさんの人に召し上がっていただけるようにできないか?」と相談をされることが増えました。
それを行うことは、自分たちの力を100%発揮していないことになるのではないか?」と、躊躇もしました。しかし、他の商品を見回して考えをもっと柔軟したほうがいいことに気づきました。
たとえば、まぐろの刺身も「大とろ」「中とろ」「とろ」「赤身」とランクが分かれています。部位の希少性や市場での価値の違いから値段が違うわけで、決して手を抜いているわけではありません。しらす加工についても同じです。

「天使の宝石」はまぐろの刺身で言う「大とろ」ですから、「中とろ」にあたる商品を作れば良いのだ!という発想で生まれたのが「カワクボのちりめん」です。
「カワクボのちりめん」という商品名と商品ロゴには、「自然の恵みをたっぷり受けて作られた昔むかしのちりめんじゃこの味を、今の世の人々に届けたい」というカワクボFACTORYの思いを込めています。

これからの挑戦

「天使の宝石」と「カワクボのちりめん」、2つの主力商品が生まれ、食品加工部としてようやくスタートできた、という感触です。
これからは、どんどん積極的に販売展開をしていこうと考えています。また、この2つの商品を全国のしらす加工会社にも知っていただき、加工機械の製造・販売にも繋がることができれば言うことなしです。

しらす加工についても、機械製造についても、まだまだ挑戦すべき課題があります。また、常に課題を設定し、進歩していくことが「仕事」ではないでしょうか。創業100年を目指し、皆さまと一歩一歩前進していきたいと思っています。

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